side K

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年を重ねると若者だった頃のように眠れなくなるのを感じる今日この頃。 目が覚めてもまだ夜明け前。 夜討ち朝駆けは貸金業規制法で禁止されているけれども、大森聡子の家に行くにはちょうどいいだろう。 どこかに出かけてしまう前に捕まえよう。 ついでに、昨日回収し忘れた大森聡子の家の冷蔵庫の危険物を没収しないとな。 大森聡子の家まで地下鉄で一駅。 歩けない距離ではない。 むしろ、これぐらい歩けなくてどうするという距離だ。 ……朝の1本がない。 そうだった、禁煙するんだった……。 ソワソワと落ち着かなくなる。 毎日毎日そんなにたくさんの本数を吸っていたわけじゃないってのに。 メラメラと何かに突き動かされるように大森聡子の自宅まで早歩き。 まだ寝ていたりして。 いや、大森聡子だって立派な三十代。 きっと、二十代の頃とは違って早い時間に目が覚めるはずだ。 自分への言い訳をしながら大森聡子の自宅まで来てしまった。 ひとまず、チャイムを鳴らすかと押してみる。 ピンポーン♪ 物音ひとつしない……。 寝てるのか? ついつい癖で電気メーターを見るも動きがない。 寝てるなら 起こしてしまえ ホトトギス 昔懐かしいファミコンのボタンを思い出しつつピンポンを連打。 出てくる気配がない。 貸金業規制法では禁止されているけれども、自分の握りこぶしでドアをコンコンコンコンっとノックして、ついでに大森聡子の名前を呼んでみた。 「おーい! 大森聡子!」 こういう近所迷惑なことは集金とか訪問の際にはしてはいけないことになっている。 だけど、相手はお客さんではなく大森聡子だ。 さっさと出てこい!
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