side K

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開けられた玄関。 THE 真冬の部屋着姿! ゆきだるまかと思った。 似合ってるぞ、大森聡子。 自分がそんな風に思っている間に大森聡子は自分とお隣さんの彼氏だと思われるイケメンを見て、悔しいけれどもイケメンに見惚れている。 面白くないけれども、仕方がない。 きっと、イケメンだから見惚れているわけではなく、男の花柄エプロン姿という斬新な恰好を見ているだけだ。 自分も買ってくるか? 花柄エプロン。 自分には似合わないな。 やっぱり、イケメンだから何をやっても似合うのだろう。 「ちゃんと知り合い?」 自分に向けた声とは違う、心配の色を孕んだ声と表情で大森聡子に話しかけるイケメン。 そんな心配そうな声を出して大森聡子が勘違いしたらどうするんだよ! コイツ、けっこうバカなんだぞ! しかも、けっこう単純なんだぞ! 赤い実がはじけたらどうしてくれるんだよ! 一瞬口角をあげて微笑みそうな感じの顔で、恥ずかしそうに 「だ、大丈夫ですっ。お騒がせしてすみません……」 と謝る大森聡子。 違う、違う、違う。 謝るのは大森聡子ではなく、自分をストーカー呼ばわりしたこのイケメンの方だ。 それなのに、イケメンは今まで見たこともないようなホッとした顔で笑いやがった。 大森聡子は完璧に自分の存在を忘れて見惚れている。 面白くない。 「朝から修羅場になるのかと思っちゃった。じゃぁ僕はこれで……あっ、ちょっと待ってて下さいねっ!」 隣に引っ込んでいったイケメン。 ちょっと待ってて下さいねって、またしゃしゃり出てくる気なのかよ……。
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