side K

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リビングで待つこと数分。 意外と早く用意を完了させた大森聡子に座るように言い、スーパーの中に詰めたお菓子類を没収する旨を伝えた。 もちろん、冷凍庫の中のアイスクリームも。 没収するだけだと可哀相だし、大森聡子とできればもっと仲良くなりたい自分としてはどっちにとっても利する条件を付けた。 自分の家まで歩いてきたら、食べさせてやると。 お菓子が食べたい大森聡子。 大森聡子で遊びたい自分。 どっちにとってもナイスな条件のはずだ。 早速、自分の家に向かおうと玄関で大森聡子を待つ。 「王子班長の家って遠いですか?」 「んー? けっこう近い」 答えながら、大森聡子捕縛計画的にはいつまでも王子班長と呼ばせるのはよくないだろうと思った。 休みの日なのに、仕事のときと同じ感覚になっていたら伝わる好意も伝わらないような気がする。 「休日に班長ってつけるの、やめてくれない?」 至近距離で大森聡子を見て言ったら、明らかに目が動揺している。 「王子さん、ですか?」 「んー? それってオジサンって言われてるみたいで微妙」 名字に『さん』を否定したのならば、名前だろ。 早く健太さんって言ってみろ。 そんな気持ちで顔が綻んだ。 「王子様?」 「ハッ! なんだそれ!」 お前は奴隷希望かよ! 心の中で思ったけれども、それを口に出すのは自重した。 王子様って何だよ。 大森聡子は家来か? 面白すぎて楽しい気分で玄関の外に。 大森聡子と土曜日を過ごす、けっこう簡単じゃないか。 流されやすそうな大森聡子を手懐けるって簡単なんじゃないか?
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