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「はっ?」 私の隣で、台湾ラーメンを啜る手を止めて珍しく驚いた顔をする王子班長の様子を全身全霊で観察しているけれども、そんな様子はおくびにも出すことができない。 カウンターのみの小さな店内、ここは私と王子班長が仕事帰りにたまに寄る『ラーメン 上海』という名前のラーメン屋さんだ。 ちなみに、上海という名前のくせに一番人気は台湾ラーメンというちょっとおかしなお店だったりする。 「だから、ダイエットをするって言ったんです。今日のこの台湾ラーメンは食べ納めなんです」 明日は『居酒屋 名古屋』の食べ納めだけど、それはもちろん内緒だ。 驚いた顔をしたままラーメンを啜る箸を止めた王子班長の様子を盗み身ながら、私は休みの日にショッピングセンターで踏み台を買ってきてその踏み台の耐荷重が80キロだったことに危機感を抱いた話をした。 危うく、ダイエットのために買った踏み台を使うためのダイエットをしないといけないところだったと。 「大森さんって、そんなに体重あったの?」 少々驚いたという表情を涼しく顔面に貼りつけて悪気なく聞いてくるような人なのだ。 そんなに体重がありましたけど、なにか? ギロリと睨めば 「あっ、ごめん、セクハラになるか。ははっ」 と、誤魔化し笑いをしている。 そう、こんな人に恋をしてしまっているばかりに、誘われるままに台湾ラーメンや味噌カツ定食に付き合い私の体重はジワジワと3年の月日をかけて増えてしまった。 もちろん、原因は台湾ラーメンと味噌カツ定食だけではないだろう。 それなのに、王子班長は私をただの同僚としか見てくれない。 体重75キロまで増えた部下を女性として見て欲しいというのがそもそもの間違いだということに気が付いたのも最近です、反省。
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