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765プロダクションの事務所への入口前で、ため息をついている女の子がいた。
「……や、やっぱり一人だと入りづらいなぁ……春香ちゃん、早く来てくれないかな……」
萩原雪歩がここに着いてから、すでに10分が過ぎている。
いつもなら彼女の友人であり、現在ユニットを組んでいる天海春香と一緒に中に入れるのだが、あいにく、今日はまだ、春香は姿を見せていない。
「ううっ、私一人でプロデューサーの所になんて行けないよ……」
やっぱり無理、と雪歩が入口に背を向けたとき、
「ん?そこにいるのは雪歩か?」
「ひうっ?」
不意に後ろから声をかけられた雪歩は、文字通り飛び上がって驚いた。そして、ゆっくりと振り向くと、
「あ、ごめん……驚かせるつもりはなかったんだ」
扉を開け、申し訳なさそうな顔をした一郎が立っていた。
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