ファーストティータイム

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 事務所内の応接室。  雪歩は椅子に腰かけたまま、今日何度目か分からないため息をついた。 (ど、どうしよう……)  少し前に、春香から一郎あてにメールが届いた。彼女の乗っていた電車が人身事故に巻き込まれてしまい、しばらくの間身動きがとれない状況だという。 (……ということは、春香ちゃんが来るまで、どうあってもプロデューサーと二人っきりになる……ってことだよね)  どんどん自分の身体がこわばっていく。 “コンコン”  と、ドアをノックする音に、雪歩はビクッとした。 「雪歩ー、ちょっとドアを開けてくれないかな?」 「えっ、あ、は、はいっ……」  雪歩は慌てて立ち上がり、ドアを開ける。すると、ポット、急須、様々な茶葉の入った袋とお茶菓子を乗せたお盆を持った一郎が入ってきた。 「ありがとう。両手がふさがっていてドアが開けられなくてさ」 「プロデューサー……これは?」  雪歩は、彼が持ってきたものに戸惑った。 「ああ、これは俺のお茶セットだよ。春香が来るまで、雪歩も一緒にどうかなって思ってさ」
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