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「このくらいの大きさでいいかな?」
桜の模様の入った湯飲みを見せる。
「あ、はい……」
湯飲みを受けとる雪歩だったが、
「あ、あの……プロデューサーは……それでお茶を飲むんですか……?」
一郎がもう一つ持ってきたのが、大きなマグカップだったので、彼女は目を丸くした。
「ああ、ちょっと喉が渇いているからね」
一郎は急須にポットの湯を注ぎながら、言葉を続ける。
「それに、俺は“お茶大好き人間”だから」
笑顔を見せる一郎に、雪歩はドキッとした。
「よし、これくらいでいいかな」
一郎は手際よく、湯飲みとマグカップに、こぽこぽ……と緑茶を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「あ、は、はいっ……頂戴致しますぅ……」
雪歩は、おずおずと湯飲みを受け取り、ゆっくりと口に含む。
(えっ?……これは……)
こくん、と、一口飲むと、自分の身体の緊張がほぐれていくのを、彼女は感じた。
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