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「どうかな、雪歩?」
「あ……おいしいです……」
さらに一口飲んで、ほうっ、と一息つく。
(何だろう……プロデューサーの緑茶を飲んでいると、ほっとするような気がする……)
自然と雪歩の表情が緩んでいく。それを見た一郎は、
「……やっと、笑ってくれたね」
「えっ?」
彼の言葉に、雪歩は驚いて再び顔を緊張させてしまった。
「いや、最初に会ったときから、雪歩ってずっと緊張していたみたいだったからさ……」
「え、あ、あの……その……すみません……」
「?どうして雪歩が謝るんだ?」
「だ、だって……私のせいでプロデューサーに迷惑をかけて……気を遣わせたりして……」
雪歩は下を向いて、両手で湯飲みをぎゅっと握りしめる。
「そんなこと気にしなくてもいいよ。それを言うなら俺の方こそ、もっと早く雪歩がリラックスできるようにしなければいけなかったんだ」
「そ、そんな?プロデューサーは悪くないです!私の方が……っ?」
一郎は自分の唇に人差し指をあて、“もう何も言わなくていいよ”と笑みを見せた。
「さ、冷めないうちにお茶を飲もう。お菓子もいっぱいあるからさ」
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