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戸波のアパートの不動産屋に電話してから、レンタルビデオ店に電話した。もちろん、『すみません。やめます。』『あ、そうですか。』なんてことじゃ終わらなくて。
レンタルビデオ店の店長には罵倒され、不動産屋からは1か月分の家賃を請求された。
なんかグッタリして病室に戻ると、3人が微妙な顔で私を見た。
「あー、すみません。つい長居してしまって。もう帰りますね。」
「「「はあ?!」」」
箕輪さんにまで凄まれてしまった…
「どうしてそうなるんだよ。…要とはどうなったんだ?」
先輩が上体を起こそうとしたけど、小圷さんに肩を押されてベッドに沈み込んだ。
「どうって…退去の立ち合いや鍵の引き渡しをお願いしていたから確認しただけで。」
「何森さん、結局のところ、大学生と一生とどっちを選ぶの?」
先輩の枕元で腕組みして仁王立ちしている小圷さんに、要くんを選ぶなんて怖くて言えない雰囲気だ。
「えっと、元々要くんとは恋愛感情じゃないんで、一生先輩を選んだんですけど。」
「じゃあ、あいつとは別れるんだよな?」
先輩が念を押すように尋ねた。
「別れるも何も付き合ってませんから。友達としては付き合い続けますよ。」
「セフレとして?」
箕輪さんと小圷さんの前でそんなことを問いただす先輩を睨んだ。
「だから、もうセフレじゃないです。言っときますけど、要くんと友達でいるのもダメだなんて言う権利は先輩にはないですからね。
先輩に捨てられてボロボロになった私が、自殺しないで鬱にもならないでいられたのは、ひとえに要くんのおかげなんだから。
免許取りたての怪しい運転技術であちこち連れて行ってくれて。」
「え、だって、おまえ、たっぷり慰めてもらったって…」
「先輩がどういう慰め方を想像したのかは知りませんけど、身体の関係はもうありませんから。」
「なんだ、そうだったんだ。」
酷くホッとしたような顔の先輩を小圷さんがニヤニヤしながら見下ろした。
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