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若いからということもあるだろうけど、一生先輩は医者も驚くほどの回復力でみるみる元気になっていった。
4人部屋に移されると、個室にいた時のようにキスできなくなって先輩は不満げだった。
同室の3人が揃いも揃って30代の独身男性で、私が面会に行くと舐めるように見ていたのも先輩の不機嫌の原因だったのかもしれない。
小圷さんが息子の隼人くんを連れてきた時も、私を見てモジモジと恥ずかしがる隼人くんに先輩は苛立ちを隠そうともしなかった。
「隼人、よく聞け。希歩はおまえにとっちゃ血の繋がりのない親戚になるわけだけど、この先2人きりになったとしても変な気を起こすなよ。指1本でも触れてみろ、おまえだとて容赦はしないからな。」
そんなことを大真面目で言う先輩に私の方が恥ずかしくなった。
「もう何言っちゃってるんですか?こんな若い子が私みたいなおばさんを相手にするわけないでしょ?」
隼人くんと私とじゃ一回りも違う。
「希歩さんは全然おばさんなんかじゃないです!嘘みたいに綺麗で、なんかすごくエロくって。」
そう言い切った隼人くんが男の目をしていてドキッとしてしまった。
あー、小圷さんがトイレに行ってて良かった。
息子を誘惑するなって怒られるところだった。
「まったく。おまえは年下キラーかよ。いや、男を惑わす妖婦だな。」
小圷さん親子が帰った後、廊下の端のソファーで先輩がそんなことを言った。
「別に色目なんか使ってないですからね?」
そう言ったら、
「俺には使ってみてよ。」
なんて言う。
「じゃあ、それは退院してからベッドの上で。」
と冗談を言ったら、先輩がボンと顔を真っ赤にした。
「やべえ。想像したら、反応しちゃった。」
そんなことを言われたら、私まで赤面してしまった。
「本当に退院の日に入籍でいい?」
コホンと咳ばらいをした先輩が改まった口調で尋ねた。
「はい。結婚式は先輩の髪が伸びてからがいいですから、待ってられないですもん。」
「ん。俺も待ってられない。早くおまえのすべてを俺のものにしたい。」
こっそりと誰にも見えないように唇を重ねた先輩。すっかりキスが上手になった。ディープな奴はまだだけど。
スキンヘッドの先輩はなんだかセクシーで、まだ見慣れないせいかちょっとドキドキしてしまう。
先輩と箕輪さんの共同作戦が功を奏して、病院で先輩の謝罪を受け入れた兄はあっさり結婚を承諾してくれた。
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