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「本当にすみませんでした。せめてメールぐらいしようかなとは思ったんですけど、理子に変に勘繰られてもかえって悪いかなと思って出来ませんでした。すみません。」
「おまえ、気を回し過ぎ。ああ、でも、諦めが良過ぎた俺がバカだったな。」
俯いた先輩はハハッと自嘲気味に短く笑った。
「じゃあ、高校時代も今日もありがとうございました。お世話になりました。」
ペコリとお辞儀をしてドアロックを解除した私の二の腕を先輩がガシッと掴んだ。
ちょっと驚いて振り向くと、
「連絡するから。」
と世界一素敵な笑顔で言われてしまった。
「失礼します。」
と車を降りてから、もう1度頭を下げる。
アパートの入口の屋根の下で見送る中、一生先輩の車は去って行った。
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