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「何者だ、貴様は?」
さっきまでと違って恐い声色の王様。
その視線の先には、昼間に私を呼び掛けた"お母さん"。
「怪しい者じゃありませんよ。
娘を捜しに……」
「嘘を申すな!
貴様の目は濁りきっている。
この娘の母のはずがなかろうが」
「フン!どうせすぐ死ぬくせに、偉そうに。
あんたもろとも始末してやるよ」
そう言って、"お母さん"は胸ポケットから拳銃を取りだし、私たちに向ける。
ちがう違うちがう。
この人は"お母さん"じゃない。
私のお母さんはこんなことしない。
「キミ!」
考えはすぐに中断され、王様に呼ばれる。
「鍵を使うんだ!
それで、キミは助かる」
「え、でも王様は?」
「なに、なんとかなるだろう。
さあ、早く使いたまえ」
「は、はい」
って、言われても、どうすればいいのよ。
鍵、鍵……ど、どこかの鍵穴にさすの?
あ、
『~記憶の鍵穴を~』
記憶の、鍵穴……。
意識した瞬間、私の手の中に小さな箱が出てきた。
「な、やらせない!」
慌てて、謎の女が私に銃口を向けるも、王様が掴みかかった事で縺れ合い、銃口が定まらない。
今しかない。
これが記憶の鍵穴なら、お願い開いて!
私は、ゆっくり鍵穴に差し込んで、回した。
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