第1章

12/12
前へ
/12ページ
次へ
後日分かったことだけど、私は交通事故にあい、三日ほど生死をさ迷っていたそう。 私が目覚めたのは事故から一週間後のこと。 目覚める少し前、一度だけ容態が悪化したために、それからお母さんは付きっきりでいてくれたらしい。 ただ、お母さんが言うには、眠ってる私は、何かに怯える顔をすることもあったけど、ほとんどを楽しそうな笑顔だったという。 「どんな夢だったの?」 なんて、その後に幾度となく聞かれたけど、私は何一つ思い出せない。 とても大事で、 とても楽しくて、 とてもスゴい事だった気がするけど、 それらを思い出す事は出来ない。 チャリン。 とと、鍵を落としちゃったよ。 学校のロッカーの鍵を慌てて拾い上げる。 ーーあれ? ありきたりな鍵のはずなのに、一瞬、それがすごい鍵に見えた。 でも、それはほんとに一瞬。 すぐに元の鍵に戻る。 「時子~!早くいこ?」 「あ、うん今行く」 待たせてる友達を追いかけ、私は駆け出す。 また鍵が光った。 窓から差し込む太陽の光を反射しただけだけど、何故か、それを妙に綺麗に感じた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加