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「ここは、どこ?」
ちょっとクラクラする頭を手で支えながら起き上がると、目の前には見慣れぬ景色。
なんだか、中世ヨーロッパみたいな重厚感ある石造りで背の高い建物が並ぶ。
大きな通りには、馬車が縦横無尽に動き回って……。
馬車?
ん、ちょっと待って。
あたしは平成生まれの大学生、渡 時子(わたり ときこ)
日本生まれの日本育ちで、『ヨーロッパの街並みって綺麗だな~』とか思ってたけど、行ったことは全然なくて。
いや、そもそもが、今の時代に馬車が縦横無尽に走る事なんてありえなくて。
え、と、つまりこれは夢ね。
きっと夢なんだわ。
そか~夢か~。
でも、そう考えると辻褄があう。
さっきから一人でブツブツと喋ってる私を、誰も不審そうに見たりしない。
そうでなくても、金髪やら茶髪の見目麗しい方々の中で、黒髪の私は目立つだろうに。
単純に、透明人間にでもなって街に入ったようなものかな?
まぁ、いっか。
なら、色々行ってみるのもありよね。
どうせ夢なんだしね。
目が覚めたら忘れてるかもだけど、中世ヨーロッパの世界になんて、そうそう行けないし。
楽しまないとね。
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