第1章

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~~~~~ 「ここは、どこ?」 ちょっとクラクラする頭を手で支えながら起き上がると、目の前には見慣れぬ景色。 なんだか、中世ヨーロッパみたいな重厚感ある石造りで背の高い建物が並ぶ。 大きな通りには、馬車が縦横無尽に動き回って……。 馬車? ん、ちょっと待って。 あたしは平成生まれの大学生、渡 時子(わたり ときこ) 日本生まれの日本育ちで、『ヨーロッパの街並みって綺麗だな~』とか思ってたけど、行ったことは全然なくて。 いや、そもそもが、今の時代に馬車が縦横無尽に走る事なんてありえなくて。 え、と、つまりこれは夢ね。 きっと夢なんだわ。 そか~夢か~。 でも、そう考えると辻褄があう。 さっきから一人でブツブツと喋ってる私を、誰も不審そうに見たりしない。 そうでなくても、金髪やら茶髪の見目麗しい方々の中で、黒髪の私は目立つだろうに。 単純に、透明人間にでもなって街に入ったようなものかな? まぁ、いっか。 なら、色々行ってみるのもありよね。 どうせ夢なんだしね。 目が覚めたら忘れてるかもだけど、中世ヨーロッパの世界になんて、そうそう行けないし。 楽しまないとね。
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