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走って、走ってやってきたのは広場のようなところ。
そこには、鍬や鎌などの農耕具をもった人々と、銃剣を構えた兵士達が対峙している。
「我々は、自由のために闘う!
お前らなぞ恐くないぞ!」
農耕具を持った人々が、銃剣を構えた兵士に向かっていく。
「逆賊を処刑せよ!撃てい!」
兵士達の銃剣が火を吹き、何人もの人が倒れる。
それでも、後から後から押し寄せる人々の群れ。
これは、
これは、
知っている。
フランス革命だ。
なんて、
なんて、とんでもない時代にいるの、私は?
目の前で繰り広げられ惨劇に息をのみ、私は走るのを忘れてしまっていた。
両手を口に当て、背けたいのに、背くことが出来ない目の前の惨劇を凝視する。
ダーーン!
再び、銃剣が火を吹いた。
瞬間、私の右肩に激痛が走る。
みれば、そこから流れるのは緋色。
紛れもなく、私の血。
いたい、いたい、痛い。
これは、これはどういうことなの?
夢じゃないの?
私は夢の中にいるんじゃないの?
わたし、私は……。
私は再び走り出す。
痛みに堪えながら、デタラメに走る。
なぜ走るのか、その意味さえわからずに私は走る。
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