第1章

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「ふむ、キミは面白いな」 私を見ての第一声が"面白い"。 でも、不思議と嫌な感じはしない。 「色々と記憶を忘れているようだ。 そのせいで、一番大事なことも忘れている」 大事なこと? 「よければ、私が鍵を作ろう。 キミの記憶の鍵穴にピッタリとあうものを。 それで、キミは大丈夫だ」 記憶の鍵穴……? 「は、い?」 そのまま曖昧に返事をすると、王様はニッコリと微笑んで、再び鍵を作りを始めた。 どこかに行くわけにもいかず、私もそのまま待つ。 どれくらい時間が経ったのか。 まだ高かった日はいつの間にかオレンジ色に染まり、徐々に暗闇が辺りを支配し始める。 「や、暗いのが、恐い」 なぜか分からない。 分からないけど、異常な怖さを感じる。 「やぁ、出来たぞ。 私の改心の作品だ」 出来上がった鍵を高らかに掲げ、私に見せびらかす王様。 けれど、その目はすぐに険しいものになる。 「キミ、早くこちらへ!」 そう言って、有無を言わさずに私は腕を引っ張られ王様に抱き寄せられる。 え、まさかそんな事が? なんて期待をちょっとしたけど、そのまますぐに解放されて、私は王様の後ろに隠れるように立たされた。
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