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「俺を捨てないでくれてありがとう。」
「捨てるわけないっ....!」
同じ体温になった手に、更に力を入れる。
頬が濡れた感覚がした。
「何時も待ち合わせ遅れてごめん。待っててくれてありがとう。」
「何時までも待つよっ....待ってるし!」
「気持ち全然伝えれなかったよな。好きだよ。」
「しっ....知ってる。私もすきっ....。ずっと、ずっと!」
雫が通った線をなぞる様に、あたたかい指が頬に滑った。
何故。
らしくない事するの。
いつもは乱暴に拭うくせに。
「ん。」
目の前から『目を閉じろ。』という意味を持つ声がして、私は目を閉じた。何でそれだけいつも通りなの。
「今日はつけてねぇのか。」
「うん。」
スルリスルリと、頬を指が滑る。
「またな。」
「うん。」
私はただ頷くことしか出来なかった。
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