私のコーヒー、彼のタバコ

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 どちらかというと、私は教員方との距離を縮めたい。縮めに縮めまくりたい。  コンクルとしては、縮めすぎてパシらされてるんだけれど。  それでもいい、私は彼らが好きだ。  脱線が過ぎただろうか。  とにかく、「昼休みに職員室へ」という要求が日替わりで出されているので、仕方ねぇなあ、なんて思いながら軽い足取りでそこへ向かう。  ほぼ毎日。全てと言い切らないのは、放課後の場合もあるからである。  ――そして定期テスト最終日たる今日は、「放課後に、職員室までノートを持ってきて」と声をかけられた。  そして国語のノートを彼の机に置いて、手を離した瞬間、 「なんか買ってきてくれない?」  である。  眼鏡をかけて、教員にしては珍しく常にスーツでいるが故に真面目に見えるが、事実はそうではない。騙されるな。 「……どこまで」 「校門の外の駐車場。待ってるから五分でね」 「張っ倒しますよ」 「嘘だろ、睨むなよ怖いから」  それはアンタが存外無茶なことを言うからだろう、眼鏡かち割んぞ、と思うが口には出さない。  今更だ。 「今日はここでいい。君の分も買っておいで」
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