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その後、次の予鈴が鳴るまで秘密の部屋で話をすることになった。
昔はこうだった、あの先生はまだいるのかとか。
他愛もないことだったがとても嬉しかった。
誉「そういえば、唯ちゃんは何でこの学校に?引っ越してきたの?」
と、何気なく気になってたことを聞いてみた。
なにか色々と事情があるのだろうと割り切っていたが、やはり気になるものだ。
だから気が緩み、ふっと口から零れ落ちてしまった。
唯「あぁ……。こっちに引っ越してきたの」
と答えてくれたものの、何か煮え切らない感じがしてならなかった。
この質問はタブーなんだろうか?
あまり深追いしないようにしよう。
誉「そっか。大変だね」
それからも話をしていると予鈴が鳴ってしまった。
もう少し喋っていたかったが仕方がない。
部屋の扉を開けて教室へと歩き出す。
そこから教室に着くまでの間、僕の頭の中はサボった言い訳を考え続けていた。
階段を登りきった踊り場で、ずっと黙っていた唯がこちらに向いて驚くべき質問をしてきた。
唯「誉くんはさ、彼女とかいるの?」
誉「へ??」
情けない声をあげてすぐに「いないよ?」と返した。
彼女は最初こそ目を細めてこちらを疑っていたが、納得したのか満足気な顔をした後、体を180°回転させて再び歩き出した。
軽くスキップをする彼女の後ろ姿を見つめながら僕も再び歩き出した。
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