0人が本棚に入れています
本棚に追加
幸「よし!じゃあ、皆注目!」
佐々木先生が急に声を張り上げて言い出したのは、まさかと思っていたそのまさかだった。
幸「このクラスに、転校生がやってきます!席は桜木の横だから…桜木!面倒見てやってくれよ!」
予想的中だった。
そして、面倒を見るという予想も当たっていた。
俺ののんびり気ままに学生LIFEが音を立てて崩れ去った。
幸「じゃあ、入っていいよー」
佐々木先生の指示が扉の方へ飛ぶ。
先ほどまで騒ついていた生徒は一気に静まり返り扉の方を注目した。
男かな?女かな?
圭のさっきの言葉が頭に浮かんでふよふよと漂っている。
ガラガラガラ
横開きの扉はゆっくりと開き、その開けた者が姿を見せた。
『………』
誰1人として声を上げない。
白い餅のような肌を持ち、クリッとしたつぶらな大きな目。
スラッと細く、小さな身長。
黒い綺麗な髪の毛は肩の上あたりにかかる所謂ミディアムロング。
制服を完全に着こなした天使がそこに立っていた。
彼女いない歴17年の俺でさえ、その姿に見惚れていた。
「えっと……橘華 唯です。よろしくお願いします」
小さくか細い声が脳の奥底へ侵入してくる。
橘華 唯
そうだ…思い出した。
僕達の目の前にいる少女は間違いなく、あの夢に出て来た少女だった。
最初のコメントを投稿しよう!