坂の上の墓

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もうすぐ春のお彼岸である。 熱心な祖母はお彼岸、お盆前には必ず墓掃除をする。しかし、祖母は心臓が悪く、最近は特に調子が悪い。近くに住んではいるが、同居しているわけではないので、急に「救急車で運ばれたので来てほしい」と病院に駆けつける事も、よくあるのだ。 体が丈夫なわけでもないのに、祖母はよく働く。「安静にしとかないけんで!」と言っても、ちょっと目を離すと草むしりをしたり畑に出たりしてしまう。「性分だけしょうがないだが」と祖母はしわくちゃな顔で笑うのだ。少しでいいから、自分を大事にしてほしいと私たちはいつも思う。祖母はいつ倒れてもおかしくない体なのだ。 放っておいたら祖母が無理をして墓掃除に来てしまう。墓掃除をして倒れられたりでもしたら…それこそ避けたい展開である。祖母が行く前に掃除をしに行こう、これがいきさつなのであった。
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