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(無職、ってのはキツイよなあ・・・)
基本的にポジティブ、と自覚のある俺も、さすがに帰り道の電車の中で不安が襲って来た。
九州出身の俺は、大学で上京してからというもの、ずっとひとり暮らしをしている。
その家賃や生活費、社会保険料・・・。
田舎に帰ったところで、うちの実家周辺にまともな就職先などないことはわかりきっているわけで。
とにかく、何とかして新しい仕事を見つけるしかない。
座席に座って、スマホでぼんやりと求人情報を眺めていると。
目の前に『マタニティマーク』を付けた会社員らしき女性が立ったので、席を譲る。
(俺の資格・・・車の免許と、大学時代に取った中学校の教員免許くらい?教育実習はそれなりに楽しかったけど、俺がセンセーって柄じゃねえよなあ・・・)
それなりに混み合う車内で、吊り革に掴まったまましばらくスマホの画面を眺めるが、そうそう簡単に好条件の求人があるわけもない。
(ま、何とかなるだろ!)
自宅の最寄り駅に到着した電車から降り、気分転換にコンビニでビールでも買うかー、と考えながらホームを歩いていたときだった。
スッ、と俺の横を通り過ぎて行った長身の男性。
その人が脇に抱えていた、A4サイズの封筒がひらり、と落ちた。
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