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レーム王国首都レムリアス。四方を山脈に囲まれた国は、ほぼ中央にある湖の漁業と盆地の農業が産業の多くを占めている。
また山脈鉱床から産出される鉱石の類いも、一定の数字を出していた。
「地下の坑道を通ってきたのはいいけど、街に慣れるまで結構時間かかりそうだね」
レーム王国の西側、山脈の地下坑道を抜けると隣の国がある。
国と言えば国だが、自治領なので緩衝地帯だと考えられた。
ボアネール騎士領。レーム王国が属しているディール帝国、その皇帝直下の大騎士が治める土地だ。
「出入口は地下坑道か、ばか高い飛行船かよ。さもなくば命懸けで山歩きしなさいって話ね」
真南にあるディール帝国からやって来た。それというのもディール帝国西にある、ザームラント王国が、西方辺境国と戦争中で、関所の往来が中断しているからだった。
「山歩きは自信ないなぁ。高いところは嫌いじゃないけど」
山道の標高を考えれば、好き嫌いの話ではない。命を左右する。
街に留まっているのはアトルシャンが何かを探しているからだ。
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