囚われの君は願う

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「ねぇ、いつも何探してるのよ」  聞き込みをする時には決まって一人で出掛けてしまう。教えてくれたら手伝うのに、ルーファは不思議に思っていた。 「ちょっとね。ところで体調は問題ないかい?」 「え、別に。何でよ」  脈絡のない台詞に不審がる。そもそも体調の良し悪しなど悪魔には無関係な事柄だ。 「何日も歩いたから。先は長いしね」  目指す先はサルディニア王国、サルディアだ。まだまだ遠い。  そこに破滅の魔女と呼ばれる魔法使いが現れたと耳にした。アトルシャンは噂を頼りに旅をしている。 「そう。でも破滅の魔女って、響きからして不吉よね」  皆を不幸にすると言われている、曰く付きの魔女。大昔から姿を変えずに生きているらしい。 「どうかな。確かに破滅って言われたらそんな感じはするけどね」  事実も知らずに噂で決めつけるのは好きじゃないな。彼は同意を求めるでもなくそう言った。 「私みたいな悪魔が不吉も何も無いけどね。でもそんなのに会いに行くって、アトルシャンって結構無謀な奴なの?」
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