囚われの君は願う

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 何故会いたいかは話してはくれない、そもそもが存在すら怪しい。 「僕は決めたことがあるんだ、その為に必要なら噂にかじりつきもするさ」  軟弱そうなくせして、こうと決めたら頑固だ。悪いとは言わないけれど、心配だったりはする。 「まあいいけど」  ――変なの。  魔女が居る。悪魔も居る。この世界は複雑に折り重なり存在している。  存在の肯定は意外と簡単だ。しかし、否定するのは難しい。全ての可能性を潰していかなければならないからだ。 「さて、じゃあ僕はちょっと出掛けてくるよ」  いつものように一人で行ってしまう。ついていこうとしたこともあった、見付かった時にアトルシャンがとても困った顔をした。ルーファはそれ以後、何をしているかの詮索をしなくなった。 「うーん、暇だなぁ」  縛られていることなど何一つない。知らない街だ、時間を潰すにしても特に思い付かない。 「そだ、伝心!」  ――アトルシャン以外にもいるはずよね。  不特定で波長が近い人物に影響を及ぼす、たまたま一人だけということがあったにしても、大抵は複数が感化される。
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