囚われの君は願う

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 レムリアス市で聞き込みを始めた。ルーファの姿形自体はさほど珍しくもないらしく、人と接することは簡単に出来た。  偏見が無いというか、存在の本質的な部分で疑問を抱いていないのだ。 「変な夢見たって話聞かないかしら?」  何人目か、露店のおじさんに聞いてみるとようやく反応が得られた。 「あー、そういえばそんなこと言ってるやつも居たな。なーんか、たすけてーとか言われたような気がしたって」  アトルシャンも救うなどと漏らしていた、おそらくは同種の内容だったのだろうことがわかる。 「それ、誰かわかる?」 「向こう角の花屋の爺さんだよ」 「ありがと!」  さっさとその場を立ち去ると花屋へと走った。その姿を目で追う者の気配に気づかずに。  店先にたくさんの花が並んでいる。売り子が声をかけてきた。 「いらっしゃいませ。お探しですか?」 「あー、おじいさんいます?」 「あら珍しい、ラビさんに可愛いお客さんよ」  売り子のお姉さんは店内に向けて声を上げる。すぐに杖をついた老人が出てきた。
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