囚われの君は願う

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「なんじゃね?」 「夢の話を聞きたいんだけど」  礼儀も何もあったものではない。それでも老人は嬉しそうに笑いながら、中へと招いてくれた。 「どんな夢の話かね」 「助けるとか何とかのよ」  大雑把なリクエストでも通じたらしく、ラビと呼ばれた老人は頷いている。今までも何度か話をしたのかも知れない。お喋りが好きなのだろうか。とにかくルーファは口を開くのを待つ。 「あれはのう、ここ数年でのものじゃな。正確には二年と四か月ほど前からのことじゃろう」 「やけに細かくわかるのね?」  疑問があったのですぐに話の腰を折ってしまう。聞き上手とはお世辞にも言えない彼女だ。 「そう焦りなさるな。その頃に西の騎士領に領主がやってきたんじゃよ。それと時期が一致するんじゃ」 「ボアネール騎士領?」  名跡の一つで、ボアネールという人物が下賜された始祖だ。以後は一代領主として時代の名士が封じられてきている。事実上の統治は宰相が送られてくるので、腕自慢のみの武人でも心配はない。無論監視役も兼ての宰相であるが。
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