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予想的中。夏休みはまだしも、休み時間まで遠のいてゆくとんだ仕打ちだ。額から汗が一雫流れ落ちる中、今しばらく苦行は終了の気配を見せない。
窓の外では、陽炎が揺らついていた。数日前までの雨ばかりの毎日もじめじめしていて嫌気が差したが、こと日光だけは雲が遮断してくれていたことを、今頃になって初めて体感する。働いているのかそうでないのかわからない空調を尻目に、照りつける太陽の光を視界に入れるだけで、体温が上がる気がしてどうしようもない。
あぁ……暑い。それに、とても退屈だ……。
そう思って僕が首を垂れ、机上に投げ出してしまいそうになったとき、教室の一角から落ち着いた声が上がる。
「先生、次の時間は体育館で終業式です。延長するよりも、各自の予習に念を押して、今回は終わられた方が良いかと思いますが、どうでしょう」
その言葉は、クラスの委員長である織戸という男子生徒によって告げられる、授業の延長を止めたい皆の心の声を代弁したものだった。ここにいる教師以外の全員が、口には出さないけれども、態度と表情でその要望の受理を望んでいる。
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