プロローグ   ~僕が、彼女に出会ってから~

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「そうそう。自覚と節度のある行動を、とかいうやつよ。休みのたびに聞かされるんだもんねー。もう覚えましたって言いたくなるよねー」  気怠そうに話す彼女たちは、今から必要な体育館用のシューズを片手に提げ、手鏡と手櫛で容姿を整えている様子だった。 「まあまあ、言わない言わない。それをさらっと聞き流すのも、夏休みの一環じゃないの。どっか遊びに行く予定とか考えてれば、すぐに終わるよ……ってあれー、おかしいなぁ」  うち一人の女生徒が、自分のロッカーを探りながら返答する。僕にはわからないけれども、多くの人が集まる場所に行くためには、彼女らなりの準備があるらしい。 「それもそっかー。ってかさ、そろそろ行かない? 並ぶの遅れると怒られそうだし。そもそもあんたは、さっきから何やってんの?」 「いや、体育館シューズが見当たんなくってさー。どこやったのかなーって」 「あ、そういえば前になくしたって言ってなかった? あれから見つかってないんでしょ?」
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