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「それがさ、結構マジで伝わってる話らしいよ。どこまで本当かわからないけど、ここ何十年か、この街での行方不明者とか失踪事件の類で未解決のやつってないらしくて、そのプロが頑張ってんじゃないかって」
話題についての率直な印象としては、都市伝説か何かのようなものかと思った。話半分の面白半分、そんな口調と反応が目立つ感じだ。
「けど、行方不明者なんてそうそう出ないし、出てもだいたいは見つかるものでしょ? 何もこの街だけの話じゃないんじゃ……」
「聞いた話よ、聞いた話。いや、だからさー、あんたも体育館シューズ探してもらったら?」
「ヤダそれ、冗談きついよー。いいもん、休み明けには新しいの買っとくし!」
「買えばいいってもんでもなくない? これを機にそそっかしい性格直したら? そうしたら、あんたに物貸すのも安心だしさ」
「えー、それって前にピン借りたときのことー? あれはさ、ごめんって謝ったじゃないの」
そして、笑いながら彼女たちは体育館へ向かって進む。
一方、僕はその話を聞いて歩みを止めてしまっていた。
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