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疑問だったのだ。その具体的な内容としては、あまりの中身のなさが疑問だった。都市伝説なんてものは、基本的には誰かが興味本位ででっち上げたもので、それが噂に変わったものだと思う。だからほとんどの場合において、内容は極めて精巧たり得るはずだ。人の興味を引き、語り継がれていくために、隙のない完成された話でなければならない。
けれども、さきほどの噂はどうだろう。あまりにも情報量の少ない話。曖昧で浮ついた、掴みどころのない話だ。有り体に言ってしまえば、つまりは面白さに欠けるということになる。
しかしながら、ゆえに僕にはそれが引っかかったというわけだ。
創作でない噂話。だとすればその正体が何なのか。それを考えたとき、答えは自ずと頭の中に浮かんできた。あるいは、浮かんできてしまったと言うべきかもしれない。
このとき、僕のこの先の予定が決まった。きっと僕は浮かべた答えを確かめるために、今日の放課後、一つの寄り道をするのだろう。
無意識にそう思ったとき、口からは軽いため息が漏れていた。
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