第二章 今更王道的展開とか...帰ってくれないか?

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アイと出会ってから一週間と少しが経ったある日。 「大槻君、これってこうですか?」 「ああ」 覚えの悪かったダラスが、早くも一人前と呼べる位上達していた。覚え悪いのに、何故上達が速いのかは俺的七不思議の一つに分類された。 それに、こうも俺の技術をあっさりと習得されるとちょっとムカつく...だが、中々習得しなかったらしなかったで、恐らくムカつくとは思うけど...我侭だね俺! 「変な事考えて無い?」 嫌な自分と向き合っていると、ユズハがジト目でコチラを見ていた。何故分かったのか...女の勘?いや、ユズハって女の勘無さそうな...なんて、失礼極まりない事を考えていると 「...ぶん殴るわよ?」 普段見せない笑顔で握り拳を見せてきた。ふむ...女の勘があったみたいだ。それか、俺の心が読めるかのどちらか。 「いや、顔に出てるから」 握り拳と笑顔を収めて、今度は呆れ顔で教えてくれた。優しいね! という事は、ユズハに女の勘は無い模様。まあ、一部おとーーー 「くっ...!」 「アンタ...死にたいの?」 え、何が起こったかって?要約すると、まな板と心の中で思ったらぶん殴られた。ちょいと痛いねん...と、ふざけてる場合じゃないな。ユズハの目に殺意の炎がメラメラしてるから、このままだと刺されかねない。バイオレンス! 「マジ勘弁」 キリッとした顔で言うと、 「そう?じゃあ、爪剥ぐ程度で許してあげるわね」 罪が大分軽くなった。大分軽くなっても、激痛に変わりは無い辺りがユズハクオリティー。 「それも勘弁。許してくれ」 こんな事なら、俺の持ってる拷問知識教えるんじゃなかったぜ...等と後悔しながら頭を下げる。ハッハッハ、プライドなぞ捨ててやったわ! 頭を下げているのに、 「もっと低く。地を這うように」 冷酷な命令をされる。つか、それって土下座しろって意味だよな?何時ぞやは土下座までしなくて良いとか言ってたのに... 「速く。それとも、爪と肉の間にこの裁縫針刺す?」 ...無情だな。しかも、後に出てきたやつも拷問だし...かなり痛いぞそれ。
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