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「でも、さっきミシン動かしてませんでしたか?」
ああ、信じてなかったのはそれが関係してたのか?それなら、物を見せた方が説明するのに手間が無くていいかもしれないな。
そう考えた俺は、ミシンの近くに置いてあった小さなヌイグルミを持って見せる。
「こいつらの服作ってた」
ヌイグルミのモチーフは、猫化した時のアイ。それと、猫化したらこんな感じかな?って想像したノワール。更に!通常時のアイとノワール。五時間で作った割には納得の出来だ。
「いい出来ですね...じゃなくて、なんで手伝ってくれないんですか?!」
ユズハも手伝ったけどな!と、言おうとしたら何故か少し怒ってる様子だ。
「いや、手伝ったら修業の意味無いだろ?それに、納期がヤバイなら手伝うけどまだ期間あるし」
うちの方針は...と言うか、俺の方針は習うより慣れろだ。だから、無駄な手伝い等はごめんなさいだ。
...決して、手伝うのが手間だからじゃ無いぞ?ほ、本当だからなっ!?
うん、俺にツンデレっぽいのは似合わないな。やめようか...でも、これってツンデレなのか?
やっべ、どうでも良すぎだな...
「うっ...確かにそうですね」
どうやら、俺の言い分に納得してくれたみたいだ。
「納得したなら、さっさと手を動かせよー」
言いつつ、勝手にミシンの電源を入れると
「わっ、ちょ!?」
慌てて仕事に戻った。
「じゃあ、俺はちょっとおばさんに呼ばれてるから行ってくる」
ヌイグルミ作りは、暇潰しだったのだ。余った布と多少の労力と時間を使って悪くない物が作れたから、有意義な暇潰しではあったけどな。
「はいはい、さっさと行ってらっしゃい」
ダラスより先に、ミシンを動かし始めていたユズハがコチラを見もせずに言葉を掛けてくる。むう...せめてこっちを向くか、優しめの言葉を掛けてくれないものかね。期待はしてないけどさ...
つか、何を作ってるんだろうな?俺が頼んだ分はもう終わってるし...気にするだけ無駄か。
考えるのを放棄した俺は、何故かヌイグルミを持っておばさんの所へと歩みを進めるべく店を出た。
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