第二章 今更王道的展開とか...帰ってくれないか?

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「今回行くのは、シルトヴァリエよー」 「ほう!」 オバサンが優しく答えると、何故か目を輝かせるノワール。アイに理由を聞こうと思い見ると...こっちも? カヤはーーーどうでも良さそうだな。 「...それ、聞く必要あったのか?」 別に、他国だがそんなに違うとは思えないし...そりゃあ、治安とかの関係で多少は違うと思うけどその程度だろ?よく知らないけどさ。 そう思ったのだが、 「あるよっ!」 どうやらあるらしい。俺の疑問に食いついたノワールは、ふんすっ!と息巻いて説明してくれる。 「シルトはね、世界で唯一亜人と人間が共生してる国なの!だから、私達にとっては聖地みたいな物で...あ、でも立場的には少し亜人が上みたいな話も?どっちだろう?」 そういう事か...それなら、the亜人であるノワールやアイが興奮するのも理解出来る。俺が同じ立場でも、その国に移住したいと考えるだろうし。 「理解した。だが、亜人の方が立場が上というのは?」 人間至上主義の国があるのなら亜人至上主義の国もあっていいと思う。だが、それならなぜ疑問形になるのか...不思議に思い聞くと、オバサンが補足説明ねーと言って 「シルトヴァリエは、ノワールちゃんが言った様に亜人と人とが同じ立場で生活出来る国なの。で、この世界で唯一無二の場所だから亜人達がこぞって移住を始めてね...比率的に7:3位で亜人の方が多いの。それ故か、国の中での立場は同じ筈なんだけど一部の亜人達が大きな顔をする様になっちゃってねー」 ヤレヤレと首を竦める仕草を入れつつ、追加説明をしてくれた。 要は、馬鹿たちが集まって大きな顔をしている場所もある...という事だろう。 「そういう事か...まあ、聞いたところで俺は関係無いしどうでもいいか」 シルトヴァリエに住む予定がある訳でもなし、亜人になる予定も無いからほぼ無関係だな。仕事でちょっと行くくらいで終わりそうだし。 「いや、そういう訳にも行かないのよね...」 今度こそ帰ろうと思い切り上げようと呟いた言葉に、少しバツの悪そうな顔でオバサンが答える。
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