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「...どういう事です?」
その表情に一抹の不安を覚えながらも、理由を問うと
「何箇所かそういう場所があるんだけど...今回行って欲しいのは一番激しい集団の居る街なのよ...」
包み隠さず、ちゃんと教えてくれた。だが...
「えぇー...」
こういう事は隠された方が良かった気が...でも、隠されたら隠されたでもしもの時対処に困るか...どっちもどっちだな。
「申し訳無いとは思うけど...これも必要な仕事だからお願いできるかしら?」
全て説明して、再度仕事を頼めるかお願いしてくる。
「面倒臭いとは思うし、正直そんな何があるか分からない場所になんて行きたくないですね」
キッパリと言い切る。それは紛れもない事実だから。
「そこをなんとか...」
それでも、どうにか説得して来ようとするが...この人は俺の事を少なからず理解してると思ったのは、買い被りだったのだろうか?
「でも俺...約束だけは守るんですよ。何に置いてもね。だから、今更俺が言う事は特にありません。って事で、どうにかしてやって貰える?みたいな態度を止めて下さい」
お願い、約束の過程に何が絡んでいようと...例えそれが脅しから来た物でも、俺が引き受けた以上はやる。それ以外の選択肢等端から捨ててるから、残って無いしね!
「...ありがとう」
俺の言葉を聞いたオバサンは、一瞬目を瞑ったかと思うと開き少し懐かしむ表情を見せてお礼を言ってくる。その表情には、普段見せない慈しみの様な感情が込められているような気がしたが...俺の知る必要の無い事だ。
「大丈夫だよ、ジンに何かあっても私が守るから!」
そんなオバサンを気遣う様に、元気一杯な声でノワールが宣言するが...
「いや、ノワールに守ってもらわないといけない程弱く無いから」
たまに男前になるのは何なんでしょうね?
それに、奥の手で再生能力があるし...痛いけど。
「ん?仁様強いの?」
今まで空気と化していたカヤが、俺の言葉を聞いて訊ねてくる。強いかどうかと聞かれると...定義によるかもな。
力自慢とか、そう言った類では弱いと思う。尤も、その点においては現在異世界パワーがあるから、それなりに強い方だろうけどさ...しかし、どうなんだろうな?殴り合いの喧嘩は片手で足りる程度しか経験したこと無いし、殺人経験は当然無い。戦闘となると、弱いかも知れないな。
ゲームで例えると、ステータスは高めだけどスキルが無い。みたいな感じだろうか?
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