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「これで全部か?」
「あっ!待って待ってこれもー」
店先に出された荷物を、全て積み積み漏らしがないか確認を行うとノワールが良く分からない小さな包みを持って来た。
「なんだそれ?」
「さあ?お母さんが持ってけって」
ノワールの母親...父親が少し変な人なのはノワールの話で分かってるが、母親は...
ノワールを見ると、どうしたの?とクエスチョンマークを浮かべている。ノワール、結構ズレてるよな?という事は、もしかするともしかするか...?
「悪い、開けるぞ」
底知れぬ不安を抱えた俺は、返事を待たずに包みの中身を確認するとーーーそっと閉じてぶん投げた。
「何するの!?」
急に投げたので、誰も俺を止めることが出来ず"なにか"が入っている包みは消えていった。そして、包みを投げられたノワールはビックリしている。
「ふっ、良い事をした後は風が気持ちいいな...」
ビックリしているノワールに目もくれず、現実逃避していると
「何カッコつけてるのよ」
言いながら、ユズハが鳩尾へ肘鉄を打ち込んで来る。
「っぅ....おま、鳩尾は止めろや!」
想像の通り、尋常じゃない痛みだ。脇腹とかなら鈍痛程度で済むのだが、鳩尾はヤバイ。
「そんな事は良いから。で、何で勝手に捨てたのよ」
痛みを訴えると、適当にあしらわれる。むしろ、返答次第で追加攻撃が来そうな気配。
「何で...んなもんらーーー」
言おうとして、口を噤む。果たして、言って良いのか?言っても攻撃されないだろうか...
「何?言いかけたなら最後まで言いなさいよ」
悩む俺を、仁王立ち+腕組で睨んでくる。仕方ない...なるようになれだ。
「...ラビッツって魔物がいるらしいのは知ってるか?」
覚悟を決めて、下準備から入る事にする。もしやばそうなら、すぐにでも引き返せるように。
「知ってるけど...それが何?」
俺の質問に、一瞬だけ面食らった様な反応を見せたがすぐに仁王様に戻る。
ふむ...行けそうだな。
「さっきの包みの中身...」
「?」
言いたくないなーと、言い淀んでいると何が言いたいの?と目で聞かれる。はぁ...嫌だなー。
「さっきの中身、そのラビッツのナニだったんだよ」
ユズハにだけ聴こえるように、耳打ちして伝えると
「...私が悪かったわ。アンタは確かに良い事をしたわね」
素早い手の平返しが目の前で行われた。
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