いざ、受験へ

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「へー、ここがトウダイかぁ」  私は赤門とやらの前に立っている。なんか古臭い日本風の門で、古い神社やお寺に行けばこの程度の門はどこにでもありそうだ。駅からぞろぞろと大名行列のようにここまで進んできた。この門をくぐって東大の敷地内に入る生徒が多い。  私は別に興味はなかったし、この先の正門から入るべきだと思って赤門はスルーした。  東大の正門に辿り着いた。こちらは赤門とは違い、石造りの門におそらくは鉄製であろう門扉がある。門扉と言っても一枚板ではなく、牢屋のように縦に細い鉄柱が何本も走り、閉めたとしても向こう側が普通に見える。中途半端に西洋風で、この先に大きな教会でもありそうだと思わせる門だ。赤門と正門ではデザインの統一性がない。  赤門も正門もなんか古臭いな、と思っていたが、私を驚かせたのは教室に入ってからだった。  何を驚いたかって?  古い。古いのだ。門の比ではない。  なんだこの建物は、机は、椅子は。壁は汚くぼろい、廊下は真っ黒な石の床でひんやりとする。  私の第一志望はこんな古臭い学校だったのか。  すべての校舎が古いわけではない。別の校舎を見ると新築かと思われるような近代的な校舎も立ち並ぶ。はっきりいってあっちで試験を受けたかった。やたら落差が激しい。私はハズレを引いたのか?  自分の受験番号を確かめ、席を探し、畳まれた椅子を起こして座る。  机は長いテーブルの形状で、つめれば5,6人程度は座れる。女の子ならぴっちり詰めれば8人くらい座れちゃうんじゃないかな? 端っこの子は半ケツになっちゃうだろうけど。  椅子に座ると、椅子がぎしっときしむ。なんだか椅子にお前重いぞと言われているようで少しむっとしてしまう。  ちょっと体重移動するだけで、ぎしぎしと音を立てる。  合格したら本当にこんな学校へ通うのか。本当に私がこんな学校を選んだのか?
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