いざ、受験へ

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 まあ、古臭いのはいいとしよう。  この学校は正式名称を東京大学と言うらしい。  なんだこの捻りのないネーミングは。人に話すときはまあ東京都にあるといちいち説明しなくていいから、それは利点かもね。  でもさ、この校舎とか、敷地の広さとか田舎を連想してしまう。千葉にあるって言われても違和感ないよ。(千葉の人ごめんね)  東京ディズニーランドも千葉にあるしね。  千葉にあったのをこっちに移転してきたんじゃないかと勘ぐってしまう。  なんでも東京つければかっこ良くなるわけじゃないんだな、なんて思ってしまった。  もっと東京ファンタスティック大学とか東京メルヘン大学とか私が改名してあげようかと思うくらい。  わざと落ちようかな、なんて考えすら浮かんでしまう。  唯一いいなと思ったのが、この大学の受験生たちだ。どうも地方から出てきているらしく、派手派手しい人が少ない。  中には髪を染めている子もいるけど、田舎っぽい私とは相性が良さそうだ。服装もちょっとださくて、私も人のことを言えないが、これなら友達もすぐできそうだ。  私はまだどこの大学も合格していないらしい。極度の緊張症のせいで、数撃ちゃ当たる作戦で大学を受けまくったらしいが、すべて不合格か、まだ発表前の大学もほとんど絶望的みたいだし。  なら、この大学に入るしかない。  諦めてここにしよう。いいところを探せばきっとあるはずだ。  いいとこその1、生徒がいい。みんな素朴で、すぐ仲良くなれそう。  いいとこその2、敷地が広い。みんなで鬼ごっことかしたら楽しそうだね。  いいとこその3、なんかやたら新しい校舎がある。あれに当たったらラッキーかな。  長机には二人ずつ座るようだ。隣との距離がかなりある。おそらくカンニング防止なのだろう。  こんな大学にムキになって受験する人なんていないだろうから、必要ないだろうにね。  そう思ったのだが、別の意味でカンニングなんてできないと思った。  試験が始まるとすぐにそれがわかった。
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