空をかけるひつじ

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かずみは、ベッドの上からゆるゆるとヤスノリに視線を巡らせる。 「来てくれたんだ」 ヤスノリは、 「うん。イヤな予感がしてね。気が付いたらかずみの側にいた」 もう、そんな立場じゃないのにね。 自分たちの間に起こった出来事を、忘れてしまったわけではなさそうだ。 かずみとヤスノリはもう別れていて、すでに『恋人』ではなくなっていること。 その原因は、ヤスノリの不甲斐なさにあったこと。 結局、別れを切り出したのは、かずみだが、 「親に決められた婚約者を、きっぱりと断れない男なんて、一緒にはいられない」 その理由は、しごくもっともであったこと。
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