16.御霊分の夜

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神を抱く体が、 どれほど力(りょく)を 奪われていくのか 想像すらも出来ないまま、 その時を迎え、 奪われるままに 俺の力は吸い取られていくようだった。 遠のきそうになる命を、 必死に気力で支え続けるようする。 痛みとも苦痛とも言えぬ 力が内部から俺を侵食して 蝕んでいくようで……。 俺の体内を突き破って、 もう一度、 外へと解き放たれようと 暴れ狂うように。 閉じ込めたものを 外に押し出さぬように 自身の体を抱きしめるように ギュっと力を込める。 苦痛に歪む俺の傍、 自らもボロボロのはずの飛翔が、 自らの手を俺の中に重ねた。 『汝も我と契を成すか』 降り注がれた言葉と共に頷いた飛翔の体から 抜け出していくのは青白い光。 その光は俺の中へと吸い込まれて 内側から、その苦痛を取り除くように 穏やかな作用を放って行った。 『契は交わされた』 静かに響いた言葉は先ほどまでの荒々しさを 感じさせることなく何処までも深く穏やかだった。 金色の雨は降り注ぐ。 全てを癒し、包み込むように。
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