1.金色の雨が告げた未来

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万葉の問いかけに対して、 俺はただ頷くことしか出来なかった。 「それでは、  六月の供養の式典の準備を  万事滞りなく進めたいと思います。  議員の皆さまも、  それで宜しいですか?」 万葉によって同意を求められた 議員たちも、 ただ頷くばかりだった。 万葉の話し方には、 人に断ることをさせない 不思議な力が宿っている。 そんな気がした。 「それでは、本日の議会は終了いたします。  後見殿。  奥の部屋にて、宮の方について  深くお伝えしたいことがあります」 会議終了を告げた後、 万葉は意味深な言葉を、その場に残しながら 華月と共に姿を消した。 「どうした?」 二人が向かった方角を ただ見つめ続ける俺に 飛翔が近づいてくる。 「いやっ。    万葉の残した  言葉が気になっただけだよ」 「そうか」 「飛翔、今からどうする?  少し村を歩いてくる。  俺自身の足で」 「そうか。  墓参りしないとな」 飛翔と二人、部屋を後にして 庭に出た途端に、 村に来た時に使う、 真っ白なリムジンを磨きながら 久松がゆっくりと お辞儀をして近づいてきた。
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