17.雷龍 翁瑛降臨

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気が付いた時、俺は社ではなく、 総本家の母屋の自室だった。 「神威っ!!」 縋り付くように布団越しに抱きついてくるのは 桜瑛。 「何だよ。  泣いてたのか?」 掠れた声を出しながら ゆっくりと桜瑛の涙を指先で拭い取る。 桜瑛は俺の手を両手で包み込みながら 自らの頬へと近づけた。 「……良かった……」 安堵したように紡がれた。 「飛翔は?」 問いかけた言葉に桜瑛は何も言わなかった。 まさか今度はアイツが犠牲になったのか? 不安が湧き上がる心。 「ご当主お目覚めでございますか?」 部屋の外から陸奥の声が聞こえた。 「あぁ。  開けていいぞ」 そう言った途端、ゆっくりと開けられる襖。 慌てたように俺から離れる桜瑛。 「お取込み中でしたか?」 そう言いながらゆっくりと 部屋へ入ってきた陸奥は俺の傍へと座った。 「無茶なことしやがって」 傍で吐き出された言葉は、 今のアイツが感じたありのままの言葉。 「うるせぇ。  俺は負けず嫌いなんだよ」 言葉遊びを楽しむように切り返す。
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