17.雷龍 翁瑛降臨

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「さっ、後見殿たちが待ってるぞ。  立派なことをやりとげたご当主様をな。   客人も集まって来てるみたいだから仕事してこいや」 陸奥に言われるままに、 当主としての俺にスイッチをいれて部屋を後にした。 「ご当主」 後見がいるはずの 奥宮に顔を出した俺を呼ぶ声。 「万葉、体はもういいのか?」 「この度は、玉を抱かれたのこと。  おめでとうございます。  金色の雨が洗い流してくださいました」   「そうかっ」 「生駒、秋月より客人が控えております。  着替えの後、奥宮の広間へ」 促されるままに当主としての黒衣の正装へと 着替えを済ませると奥宮の広間へと向かった。 広間に続く、控室の間には十二単を身に着けた、 さくらである暁華が静かに控える。 控室から覗いた広間には、まだ幼い黒髪の少女。 その少女の隣に寄り添う桜瑛。 そして……柊と呼ばれた生駒の女性。 華月・闇寿。 「影宮のお成りです」 万葉によって紡がれた言葉の後、 ゆっくりとその広間へと歩みを進める。 俺のすぐ後ろに控えるのは暁華。 その後ろに見守るように控えるのは陸奥。 頭を垂れる関係者の前で臣に置いたばかりの、 宝玉をお披露目する儀式。
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