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ただ静かに呼吸を整えて、
手の刻印へと意識を集中させていく。
刻印が次第に熱を帯びた時、
金色の光と落雷と共に姿を見せた甲冑姿の青年。
その青年が俺の傍寄り添うように控えた。
それを受けるように生駒の巫女もまた、
蒼龍の姿を顕現させる。
『火綾の巫女』
小さく紡がれた言葉に桜瑛もまた頷くと、
鈴が透き通った音を鳴らし褐色の肌の青年が姿を見せる。
影宮を守護する龍神たちが一同に
祝福を告げる時間。
その場所に懐かしい姿をとめる。
「この度は影宮へのご就任おめでとうございます。
鬼の国を治めます国主・咲にございます」
長い黒髪をポニーテールに結わえた
その人は、塚本神社の孫。
「影宮の誕生、こころより寿ぎ申し上げます。
桜鬼神・和鬼にございます」
姿を見せて傍に膝を折る二人。
『咲姫、桜鬼神。
久方ぶりじゃな』
蒼龍の声が直接心の中に流れ込んでくる。
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