17.雷龍 翁瑛降臨

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ただ静かに呼吸を整えて、 手の刻印へと意識を集中させていく。 刻印が次第に熱を帯びた時、 金色の光と落雷と共に姿を見せた甲冑姿の青年。 その青年が俺の傍寄り添うように控えた。 それを受けるように生駒の巫女もまた、 蒼龍の姿を顕現させる。 『火綾の巫女』 小さく紡がれた言葉に桜瑛もまた頷くと、 鈴が透き通った音を鳴らし褐色の肌の青年が姿を見せる。 影宮を守護する龍神たちが一同に 祝福を告げる時間。 その場所に懐かしい姿をとめる。 「この度は影宮へのご就任おめでとうございます。  鬼の国を治めます国主・咲にございます」 長い黒髪をポニーテールに結わえた その人は、塚本神社の孫。 「影宮の誕生、こころより寿ぎ申し上げます。  桜鬼神・和鬼にございます」 姿を見せて傍に膝を折る二人。 『咲姫、桜鬼神。  久方ぶりじゃな』 蒼龍の声が直接心の中に流れ込んでくる。
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