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「影宮。
時の君が闇に飲み込まれるまで後一刻。
お急ぎくださいませ」
桜鬼神が告げた言葉に一気に現実に引き戻される。
「影宮。
戦いに赴くにはその内なる力の宝剣を解放し
雷龍の力を……」
柊が告げた言葉に俺はあの日、
学校で涼夜が告げた言葉を思い出した。
『徳(解く)を重(おも)んじ、
その力を持って、宝と成す』
徳=解く。
解放させることによって育まれる存在。
それは『徳』をもたらす道標となる。
その力は龍の抱く力。
今、俺がここに居るのは俺に関わる全ての存在が
俺を守り続けるから。
守られし力を己が守りし力へと
解放していく。
自分の中で気を練り上げて、
一本の宝剣を鮮明に描き出していく。
細部までリアルに描き続け、
血を錬金していく。
左手の掌から浮き出した柄を
ゆっくりと右手で握りしめると一気に引き抜いた。
体の中から初めて、
抜き出されたその刀を切っ先を
ゆっくりと両手で挟んで手をスライドさせていく。
途端に練りあわさっていくさくらの気。
「貴咲、力を貸せ。
新たなる玉を抱きし神威が告げる。
我を支え、我を導け。
汝が力、この剣に宿れ」
空に突き上げた宝剣に
雷が宿り稲光を剣を包み込んだ。
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