17.雷龍 翁瑛降臨

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「影宮。  時の君が闇に飲み込まれるまで後一刻。  お急ぎくださいませ」 桜鬼神が告げた言葉に一気に現実に引き戻される。 「影宮。  戦いに赴くにはその内なる力の宝剣を解放し  雷龍の力を……」 柊が告げた言葉に俺はあの日、 学校で涼夜が告げた言葉を思い出した。 『徳(解く)を重(おも)んじ、  その力を持って、宝と成す』 徳=解く。 解放させることによって育まれる存在。 それは『徳』をもたらす道標となる。 その力は龍の抱く力。 今、俺がここに居るのは俺に関わる全ての存在が 俺を守り続けるから。 守られし力を己が守りし力へと 解放していく。 自分の中で気を練り上げて、 一本の宝剣を鮮明に描き出していく。 細部までリアルに描き続け、 血を錬金していく。 左手の掌から浮き出した柄を ゆっくりと右手で握りしめると一気に引き抜いた。 体の中から初めて、 抜き出されたその刀を切っ先を ゆっくりと両手で挟んで手をスライドさせていく。 途端に練りあわさっていくさくらの気。 「貴咲、力を貸せ。  新たなる玉を抱きし神威が告げる。    我を支え、我を導け。  汝が力、この剣に宿れ」  空に突き上げた宝剣に 雷が宿り稲光を剣を包み込んだ。
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