18.未来を誘う長として

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生まれた時から実の両親と交わることなく 宮家から影宮の元に差し出される 生贄としての生活を強いられ続けた涼夜。 涼夜の傍に居たのは 倉智ただ一人。 倉智以外の者と交わることなく 幼少期を過ごし続けた涼夜の前に、 突然、姿を見せたのは兄。 司宮竜也。 倉智に隠れて兄・竜也の手を取って 一人住まいから逃げ出すように 外の世界を感じた涼夜。 外の世界は涼夜が焦がれたように 明るいものではなかった。 涼夜の姿を見た途端に、 顔色を変えて行く大人たち。 実の両親ですら、 涼夜を受け入れることはなかった。 そのままその世界からも 逃げ出すように幼い涼夜は 自分の住まいへと逃げ帰っていく。 それ以来、司宮との交わりもたち 常に表舞台で華やかに活躍を続ける 司宮の映像を一人、追いかけるように辿り続けていた。 アイツが抱いた傷は、 俺も何処かに抱いてた傷。 飛翔と出逢うまで、どうしようもないほどに 持て余し続けてた想い。 押しつぶされそうなその心を必死に支えようと 守り続けるのが目の前にいる幼い少年の姿をした涼夜。  俺を守る砦のように常に俺を守り続けた 幼い俺のように……。 「涼夜、もういいぞ。  こっちに来いよ」 必死に空を睨み続ける少年涼夜に ゆっくりと手を伸ばしながら話しかける。
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