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「お兄ちゃん、誰?」
「神威。
戻ってきたら、わかるさ」
伸ばされかけたその小さな細い腕を
しっかりと掴んでゆっくりと引き寄せる。
そして少年涼夜を取り囲む闇の気を、
宝剣の力で一気に薙ぎ払った。
天から降り立った雷光は、
雷鳴を轟かせて一気に弾けとぶ。
天からの眩しい光が
まっすぐに射しこんだ真下。
幼い少年涼夜は俺に手を振りながら、
横たわる涼夜の元へと消えて行った。
直後、龍へと姿を変えた貴咲は俺を背に乗せて
天高く舞い上がっていく。
何処までも高い天へと。
天を突き破って飛び出した感覚。
俺は鏡の前に立っていた。
「お帰りなさいませ」
「宝さま、お戻りなさいませ」
華月と月姫の声が俺を迎えいれる。
その後ろ、声に出すことなく
紡がれるのは『おかえりなさい』と囁く
桜瑛の声。
「華月、涼夜が……」
闇寿の声に慌てて広間から
アイツが眠る部屋へと移動した。
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