18.未来を誘う長として

6/8
前へ
/144ページ
次へ
「起きたか?」 「あぁ」 「お前が影宮とは世も末だな」 憎まれ口は相変わらずで。 「華月、飛翔は?  鷹宮から連絡があったか?」 「えぇ。  先ほど飛翔も目覚めたようです。  鷹宮に行かれますか?」 「あぁ」 「ご当主……」 「言わなくてもわかってる。  体に異常がないか、  精密検査をって言うんだろ。  俺はあっちでして貰うよ。  涼夜、後でな。  もう少し、お前も休めや。  俺にしても、華月や闇寿にしても  お前を利用しようとは思ってない。  ただお前の意思で徳力を手伝おうと思うなら、  好きにしろや。  徳力なんざ、  モノ好きの集まりだからな」   そう言った俺に、 笑いながら告げた。 「あぁ、手綱はひいてやるよ」 手綱はひいてやるだと?  相変わらず上から目線で 物言いやがって。 そうやってアイツの言葉に いちいち弄ばれてやる世界も悪かない。 「せいぜい、手綱ひけるくらいに  力つけろや。  鷹宮に行く。  久松、ヘリを出せ」 涼夜の部屋を出て広間に顔を出すと、 生駒・秋月の客人たちがもう一度、深くお辞儀した。 その前を通り抜けると、 万葉がヘリのところまで、 俺に付き従うように歩いていく。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加