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鏡の外に出て来た途端に
宝剣と呼ばれた剣も人型をとる貴咲の姿も消えた。
ただ刻印が刻まれた
その場所だけは、
滾るように脈打ち続けていた。
★
マンションの屋上ヘリポートから
車に乗り換えて辿り着いた鷹宮総合病院。
俺が顔を出した途端に、
次々と俺の顔を見て声をかけてくる人たち。
「神威君。
早城先生、最上階にいるわよ」
そうやって居場所を教えてくれたのは、
鷹宮のベテラン看護師。
ボスの貫録が漂う水谷さん。
「有難うございます」
「そこのエレベーター、
使うといいわよ」
そう言うと関係者専用エレベーターを
使えるように、鍵を差し込んでくれる。
水谷さんの好意に甘えるような形で、
辿り着いた最上階。
そこには笑い声が木霊していた。
その笑い声
聞こえる方へとゆっくりと向かう。
「先生、神威君来てくれましたよ」
真っ先に俺の存在に気が付いて、
声をかけたのは、李玖さん。
「終わったか」
病室へ踏み込んだ俺に
投げかけられた一言。
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