2.春休みのデート

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桜瑛の膝枕に、 なされるがままに頭を預けながら その心地いい時間に身を委ねた。 車がゆっくりとマンションの 地下駐車場へと吸い込まれて、 地下エンドランス前で、車が静かに停車した。 「ご自宅でございます」 久松の声に、 慌てて体を起こした俺を見ながら 桜瑛はクスクスと笑ってた。 運転席から降りた久松は、 静かに後部座席のドアを開ける。 「明日、秋月さまを  お迎えにあがる時間は  いかがなさいますか?」 久松は、 俺と桜瑛が車から降りるのを お辞儀をしたまま待ちつつ、 声をかける。 「久松さん、  明日、秋月に六時ごろ帰りたいの」 「かしこまりました。  五時頃にお迎えに上がります」 お辞儀を続ける久松に見送られながら 地下エントランスから、 桜瑛が来た時のみ使用している 一室へと向かう。 表向きは、桜瑛の為の部屋。 ただ実際は、桜瑛が来た時のみ 二人で使う 隠れ家みたいな存在だった。 「食事は?」 「食べてきたわよ」 「悪い、  少し食べていいか?」 そのまま電話をかけると 食事と軽食が すぐに部屋へと運び込まれる。 そこで食事を勧めながら、 逢えなかった時間を 埋めあうように情報を交換していった。 徳力と秋月の者としての情報交換。 そして……それぞれの プライベートの話へと 会話は進んでいく。
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